③「世界の笑顔のために」プログラム[前編]
【「世界の笑顔のために」プログラム概要】
このプログラムは、JICAボランティアが派遣されている国や地域の人々が要望する物品を、日本国内で募集(対象:無償中古品)、収集し、現地まで輸送するプログラムです。ボランティアを介した物品提供としてだけではなく、日本国民が物品提供者として身近に国際協力へ関わる機会を提供するプログラムとして位置付けられています。うちのデイケアセンターでもこのプログラムを利用したので、その報告をさせていただきます。
【プログラム実施理由】
私の働いているデイケアセンターは障害児者の食事、排泄を含めたケア、歩行訓練、学習プログラムなどを提供しながら、月曜日から金曜日まで84名の利用者が通う施設です。
現在、デイケアセンター利用を希望する待機利用者も多いのですが、体制上、すべての利用者を受け入れるのは困難な状況です。ケアする職員は5名体制です。
その為、十分な個別支援やプログラムが出来ていない状況でした。
そこで、どんなプログラムを提供すればよいかを考えていました。
ある日、「世界の笑顔のために」の実施概要が届き、カウンターパートの施設長とその中身について検討しました。普段の子どもたちは音楽やダンスが好きで、イベントなどで音楽が流れると自然に踊りだします。個々に自由にダンスをして楽しそうですが、皆で協力して何かを達成するという機会が少ないと感じていました。
最終的に楽器演奏で協力して音を奏でてみようという結論に達しました。
重度のクラスも楽器を使った音楽セラピーのようなプログラムは喜ぶのではという狙いもありました。
うちの施設はピアニカ、リコーダー 、知育玩具に応募することにしました。
【デイケアセンター概要】
当デイケアセンターのプログラムはクラスごとに分けられており、大きく5つのクラスに分けられております。拘縮で寝たきりの利用者の多い最重度クラス、身辺自立していない 脳性麻痺の低年齢児中心クラス、身辺自立しているが、読み書きができず、プログラムに介助が必要な3クラスの計5クラスです。
【楽器、知育玩具の贈呈式】
デイケアセンターはこれまで楽器を持っておらず、イベントの出し物も合唱と踊りがほとんどでした。
音源はスピーカーです。子どもたちは、生活の中でほとんど、楽器に触れる機会がありませんでした。子どもたちに、楽器に触れることはあるのかを聞くと、一部の子どもが、日曜日の教会でピアノに触ることが出来ると答えたくらいでした。
そして、ついに1月中旬にピアニカ、リコーダー、知育玩具が届きました。子どもたちは目をキラキラさせながら、どんな音が鳴るのかと興味津々でした。
もちろん、全員、ピアニカ、リコーダーは初めてでした。
そこで、私が楽器の紹介を兼ねて、皆が集まった際に南アフリカの国歌をピアニカで吹いてみました。「おーすごい」、歓声と拍手に包まれました。
その後、職員たちと大切に使うことを約束し、今後、週3回のプログラムでピアニカとリコーダーを練習することとなりました。
吹くことが難しい子も音楽を聴くだけで楽しそうです。
目標は、カジュアルデイという障害者デイのイベントで、演奏することです。今年の9月本番に向けて練習しようと職員、子どもたちは、やる気になっております。子どもたちや職員から「ありがとう」と言われ、日本で南アフリカのデイケアセンターに好意を持ってくれた人からの寄贈品であることを説明していきました。
いよいよ、これから練習です。その様子は、後編の奮闘記で投稿する予定です。